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加工する際は最初の工程で鋳肌をチャッキングするのですが、鋳物は複雑な形状をしている場合が多く、どの箇所から加工を始めていくかが効率よく加工するポイントになります。砂型の場合だと職人が手作業で仕上げをするのでどうしても鋳物一つ一つにバラツキがでます。このバラツキがなるべく加工に影響がでないように冶具を作製します。
鋳物の最大の特徴の一つは、製造過程で最終的な形状に近い状態で作られることです。これは量産時においては大きなメリットとなります。また、切削加工を行う上で加工時間の短縮にもなり、加工コストを抑えることができます。一方で加工の自由度を制限する要因ともなります。形状が予め完成されているため、加工時に冶具の選定が必要になる場合が多いです。
鋳物の切削加工を行う上で一番重要になるポイントが加工冶具の選定になります。特に1工程目に使用する冶具は完成後の精度に大きく関わってきます。複雑な形状をした鋳物はチャッキングをよく考えないと歪みや変形の原因になります。圧延材のように面と面をしっかりチャッキングやクランプができないことがあるので加工中にワークが飛ばないようにするのもポイントです。
鋳物の切削加工は、精密な部品製造において重要な役割を果たします。適切な工具の選定は、高品質な製品の保証に直結します。鋳物の切削加工における工具の選定はどのようにすればいいのか?
マシニングを駆使した鋳物の切削加工の場合は主に超硬の刃物を使用することが多いです。アルミは刃物に溶着することがあるのでコーティングされている刃物が使用しやすいです。クーラントは水溶性を使用することが多いです。
ダイカスト製品など金型の鋳物の場合は取り代が少ない場合が多いので荒加工と仕上げを同じ刃物で加工することもありますが、砂型の鋳物は取り代が多く付いています。弊社の場合、荒加工ではラフィングを使用し仕上げと刃物を分けて切削します。刃物も長く使えコストを抑えることができます。
旋盤の場合もマシニング同様、超硬のチップを使用する場合が多いです。コーティングされているチップが望ましいです。チップは刃先角が小さいものを使用することが多いです。
旋盤もマシニング同様、荒加工と仕上げのチップを分けて加工します。図面の面粗度などにより共通で使用する場合もありますが、基本的には分けて加工します。鋳物の場合は切削面がくすんだように仕上がることがあるので、仕上げにはダイヤのチップを使用する場合が多いです。
加工を始める前に図面の内容をしっかりと確認しないといけません。幾何公差がどこにあるのか、そもそも図面の形状は加工できるのか等チェックを入念に行います。稀に図面のミス等もあるので顧客とのコミュニケーションも重要です。
図面に記載の幾何公差のチェックは加工する上で工程の管理に大きく関わってきます。幾何公差を満足するためにどの部分を1工程に行うのか加工前に確認します。後工程の加工で変形すると幾何公差を外れる可能性があるので重要な加工をどの工程に持ってくるのかがポイントです。
鋳物の加工図でよくあるパターンですが、切削を行わない面から切削した面に公差が入っていることがあります。これはお互い切削した部分であれば問題ありませんが、鋳肌からの公差は素材のバラツキが大きいので寸法がでない場合があります。ダイカスト製品等の金型鋳物のような精度であれば可能なこともありますが、砂型の鋳物の場合は注意が必要です。設計者の中には金型の鋳物と砂型の鋳物を同じように考えている方もいらっしゃるので、加工する業者や鋳物業者が提案して打ち合わせすることが重要です。
切削加工を行う部分は図面に加工指示があります。昔は△マークが付いていましたが現在では使われなくなりました。切削加工では寸法の精度と面粗度も重視しなければなりません。図面を確認した時にそもそも切削加工で満足することができる粗度なのか?というところもチェックします。
鋳物の最大の課題はピンホールや鋳巣であると考えます。切削加工を行わないと判別できないことが多く、不良品になる確率が高くなります。これは金型でも砂型でも起こりうることです。面粗度にも関わってくる部分で図面の重要な箇所にピンホール等が出るとNGになる可能性があります。含侵処理や塗装で補える場合もありますが大きすぎると補えきれないことがあります。特に鋳巣は見えない部分で繋がっていることもあり、気密性の高い部品では注意が必要です。この問題に対しても顧客とのコミュニケーションが重要になります。
鋳物の切削加工は上記の通り注意すべきポイントが多く、他社で断られたというご相談をお受けします。職人の技術が必要な部分が多く、鋳物の切削加工を行っている会社では若手が中々育たないということもよく耳にします。弊社では長年の経験と知識を生かして職人と同じように加工ができるように工程表等の作成や教育に力を入れています。ご相談やお見積りなど高畠金属工業にお気軽にお申し付けください。